NPO法人みどり会|宮城|福祉|就労支援

 

2018年

 

情報広場について

情報広場について
 
 このページでは、主に仙台市内のメンタルヘルスに関する情報を掲載しています。
 

記事

記事
フォーム
 
重度障害者 再び勝訴 高裁岡山支部/福祉65歳打ち切りは違法
2018-12-17
重度障害者 再び勝訴 高裁岡山支部/福祉65歳打ち切りは違法/介護保険優先原則 岡山市の処分批判
 
 障害者自立支援法(現障害者総合支援法)7条の介護保険優先原則にそって、介護保険の申請がないからとして、65歳の誕生日で障害福祉サービスを打ち切った(不支給決定)のは違憲・違法だと岡山市を相手取り、脳性まひで重度の身体障害がある浅田達雄さん(70)=同市=が訴えていた裁判で、広島高裁岡山支部(松本清隆裁判長)は13日、原告勝訴の一審判決を維持する判決を出しました。

 判決は、岡山市側が市の自由裁量がないと主張したことに対し、浅田さんへの障害福祉サービスを打ち切ったことは「裁量処分と解するのが相当」だとしました。そのうえで、市側は不支給決定をしても浅田さんの周りにボランティアがいるので必要最低限度の支援まで失われることはないと主張したことに「看過しがたい誤り」と批判しました。

浅田さんにとって介護保険サービスの利用料負担が「大きかったことも認められる」として、市の処分は「裁量権の範囲を逸脱し、または濫用(らんよう)にわたるものであって、違法」だと指摘。市の不支給決定は「国家賠償法上も違法」だと断じました。

 判決後の集会で浅田さんは「年齢に関係なく僕の人間としての生きる権利と平等な介護が保障され、尊厳が回復してとてもうれしい」と笑顔で語りました。代理人の呉裕麻弁護士は「一審判決より良い判決だ」と評価。金馬(こんま)健二弁護士は「人間の尊厳を守る運動の成果が表れた判決だ」と述べました。

 介護保険優先原則 障害福祉サービスを利用していた障害者に対し、65歳の誕生日を迎えたとたん介護保険の優先利用を求める規定。非課税世帯が障害福祉サービスを利用した場合、2010年4月から利用料自己負担はゼロになりました。一方、介護保険サービス利用では原則1割の自己負担が発生。また、サービスの質と時間は障害福祉の方が柔軟性があり、介護保険に移行させられた障害者は多くの不自由を強いられています。

尊厳の運動“前進”
 「障害者運動として一歩進んだ」―。岡山市の重度障害がある浅田達雄さん(70)が同市を相手取り提訴していた裁判で、広島高裁岡山支部が、浅田さん全面勝訴の二審判決を出し、関係者や全国から駆けつけた支援者らは喜びを分かち合いました。

 「年金は下がる一方なのに65歳で利用料を負担しなければいけないのか」「年を取って障害は重くなっているのに介護保険に移行したらサービス支給量は減ってしまった。理不尽だ」。障害者の高齢化がすすむなか、介護保険への移行が全国的な問題となっており、多くの関係者が同判決を注目していました。

 浅田さんの代理人、金馬健二弁護士は「この訴訟は歴史上初めて、障害福祉サービスと介護保険サービスの違いは何かを、掘り下げてきた」と述べます。
 二審判決は、障害福祉サービスと介護保険サービスの違いを述べ、障害者自立支援法(現障害者総合支援法)7条の「介護保険優先原則」について、二重給付とならないよう調整する規定だと指摘しました。
 障害福祉サービスは障害者自立支援法施行時、原則1割の利用料負担がありました。これに対し違憲訴訟を起こすなど全国の障害者が声をあげ、現在、非課税世帯は無料になっています。
 「障害者自立支援法違憲訴訟の成果が今回の判決につながっている。地域、全国でのたたかいと過去・未来、現在がつながっていることを示した判決だ」。呉裕麻弁護士は、そう語りました。
 同訴訟の元原告で、広島県廿日市市から車いすで駆けつけた秋保和徳さん(67)は「この判決は浅田さんだけのものではない。圧迫された福祉施策のもとで暮らす全国の障害者、高齢者のものだ」と強調。「私たちが声をあげて国を変えていこう」と語りました。
 名古屋市の上田孝さん(68)は現在、支給決定を2カ月に1度更新しながら障害福祉サービスを利用しています。「今回の勝利で、通常通り1年に1度の支給決定を市に迫っていきたい」
 岡山県地域人権運動連絡協議会の中島純男議長は「判決は、若い人のための社会保障を守るものだ」と述べました。
 (岩井亜紀)
 
引用元;しんぶん赤旗  2018年12月14日 9時50分
⇒http://news.livedoor.com/article/detail/15738888/
 
不妊手術、旧法巡る対応検証へ 精神科医団体が内部委員会
2018-12-17
不妊手術、旧法巡る対応検証へ 精神科医団体が内部委員会
 
 旧優生保護法(1948~96年)下の障害者らへの不妊手術問題で、精神科医らでつくる「日本精神衛生会」が来年1月にも内部委員会を設置し、旧法を巡る対応の検証を始めることが16日、分かった。旧法は精神科医が本人同意のない不妊手術を申請できると規定。同会も50年代、手術促進の財政措置を国に陳情していた。被害者を救済する法案制定の道筋が整いつつある中、医療側が自らの関わりを調査する動きとして注目される。
 人権擁護に関する市民団体の関係者は「手術を推進しようとした側が自ら検証して反省の過程を踏むことが、差別解消の出発点となる」として検証結果を見守る構えだ。
 
引用元;河北新報ONLINE NEWS 2018年12月17日月曜日
⇒https://www.kahoku.co.jp/naigainews/201812/2018121601001760.html
 
「大人の発達障害さん」であるお妻様と「脳が壊れた」僕の18年間
2018-12-16
「大人の発達障害さん」であるお妻様と「脳が壊れた」僕の18年間
 
ようやくあたしの気持ちが分かったか
 「鈴木サン大変ですねえ」
周囲からそんな苦笑混じりの同情を投げかけられつつ、同棲5年の結婚13年半。おつきあい開始のときは19歳だったお妻様は、今や立派なアラフォー無職である。ああ、大変でしたとも。絶対あんたらが思ってるより激大変だった! 
お願いしても働いてくれないし、不安定なフリーの記者業でシングルインカムは辛かった。18年のうち、大半の時期は炊事も洗濯も掃除も、僕独りで背負い込んで来た。
けれども、実はこの1年ほど前から、お妻様は劇的に変化した。それなりに家事を完璧にこなし、以前は散らかり放題だった我が家は快適に維持されて、僕の担当する家事や家事にかける時間も劇的に減少した。
一体我が家になにが起こったのか!?
別にお妻様の発達障害が直っちゃったワケじゃないのは、上記観察録を見ての通り。
劇的に変わったのはお妻様ではなく、僕の方だ。
2015年5月、僕は脳梗塞を発症し、軽度の高次脳機能障害を抱えることとなった。
脳梗塞=脳の血管が詰まって脳細胞がお亡くなりになってしまうこと。高次脳機能障害=脳細胞がお亡くなりになったことで、認知機能や情緒コントロールなどに障害が起きること。
だが実はこの高次脳機能障害とは、「後天的発達障害」と言い換えても良いほどに、その当事者感覚や抱える不自由感が一致している。もちろん脳の先天的障害である発達障害と違い、高次脳機能障害はリハビリや時間経過で回復していくという違いはある。
僕自身の高次脳機能障害もほぼ2年をかけて大幅に改善したが、ここがポイント。僕自身が高次脳機能障害を抱えたことは、つまり僕が一時的とはいえ、お妻様と同じ不自由感を味わったということだ。
「ようやくあたしの気持ちが分かったか」。そうお妻様は僕に言い、障害を持つ者の先輩として、僕の障害の受容やリハビリを全面的に支え続けてくれた。その一方で僕は、後悔の念に苛まれまくることになった。
「なんで〇〇できないの?」
険しい口調で、いったい何百回、何千回、僕はお妻様のことをなじり続けてきたことだろうか。
語弊を恐れず言うならば、障害とは、機能が欠損しているということ。僕がお妻様に言い続けてきた叱責の言葉は、片足を失ってしまった人に「なんで両足で歩かないの? 遅いから両足で歩けよ」と言い続けてきたようなものだったのだ。なんという残酷なことを、無意識にやってきてしまったのだろう。
なんでって言われても、できないものはできないのだ。
みずからが高次脳機能障害になったことで、ようやくそのことに気づけた。
そして、改めてお妻様がなにができないのか、「何だったらできるのか」を深く考えた結果、僕はそれまで15年以上僕を苦しめてきた「仕事も家の中のことも全部僕が背負う」という重荷から解放され、お妻様に小言を言うことはなくなり、お妻様は家事の大半を担うようになった。現在では1日の家事にかける時間と労力は、お妻様の方が多いぐらいだと思う。  
嗚呼、本気で思う。こんなにもお妻様が動いてくれるなんて、夢のようで、信じられない。色々辛かったけど、脳梗塞になってよかった。
同時に思うのは、これまでの記者活動の中で会ってきた人々のこと。そこには、様々な障害を持つパートナーに苦しんでいる人や、障害を抱えていることが原因で陰惨なDVの被害者となってしまった女性などが数多くいた。
確かに発達障害を抱えた大人は、加害的な面と被害者になり易い側面を併せ持つ。けれども彼ら彼女らは、他に得難いユニークなパーソナリティの持ち主だし、ちょっとしたコツさえつかめば、家族も含めてその障害と共存して平和に家庭を運営していくことは、十分に可能なのだ。
「ちょっとしたコツ」だって、我ながらよく言うわ。実際に僕がそれを獲得するには15年以上の同居生活と自身の脳梗塞経験まで必要になったが、きっとその経緯は世の中のアンハッピーな発達障害さんたちとそのパートナーさんたちに、ちょっとは役立つ情報かもしれない。
世の中のギリギリなカップルや夫婦たちへ、お妻様の辛さを分かってあげられずに叱責し続けた僕自身の人生の懺悔も込めて、僕ら2人の記録を掘り起こそう。
「お妻様、そういうことで連載にしますけど、いいですよね?」
そう聞くと、キラキラした笑顔で人差し指と親指で丸を作ってOKサインのお妻様。
「OKなのね。ありがとう」
「そうじゃなくて、マニー(money)」
貴様そこでギャラの要求ですか!?  コノヤロー分配率は相談させてください。
<次回に続く>
引用元;
⇒https://gendai.ismedia.jp/articles/-/51246?page=4
 
宮家連 第2回「精神障害者家族間の支援者(ピアサポート)養成研修会」
2018-12-16
宮家連 第2回「精神障害者家族間の支援者(ピアサポート)養成研修会」
 
●日時 1月23日(水)10:30~12:00
 
●会場 福祉プラザ 10階 第2研修室
 
●内容 10:10 受付開始
    10:30 開会挨拶
    10:40 研修
    12:00 閉会
 
●研修内容 講演「新たな福祉サービスの利用について」
      講師 社会福祉法人 ゆうゆう舎 理事長 釣舟晴一 先生

 
「幻聴妄想かるた」予想外のヒット続ける理由 
2018-12-15
「幻聴妄想かるた」予想外のヒット続ける理由 全然、他人事じゃない
 
 「あ、宇宙人!先っぽが光ってる!」「これから躁の合宿です」。何やら謎めいた言葉たち。幻聴や妄想の経験談を、あえてさらけ出した、「幻聴妄想かるた」の読み札にあるものです。発売以来、異例のヒットとなり、第3弾まで生まれています。「幻覚をいじって笑い飛ばす」。かるたが伝えるメッセージには、誰もが直面するかもしれない「心のつまずき」と、うまく向き合うヒントがありました。(withnews編集部・神戸郁人)
 
頭からホース……?
 「何だ、これ?」。ある取材に向けたリサーチ中、ネット上で偶然見かけた書籍の情報が目にとまりました。

 スマートフォンの画面に大写しになったのは、「幻聴妄想かるた」と書かれた表紙画像です。タイトルの周辺を、人らしきキャラクターたちがぐるりと囲んでいます。

 でも、頭からホースのような管が飛び出ていたり、肌が緑色だったり……ちょっとへんてこです。
 
(あ)「あ、宇宙人!先っぽが光ってる!」
(せ)「正社員が叫んでる!」
出典: 「超・幻聴妄想かるた」から
 
 購入してみると、読み札も独特の言い回し。その魅力に、私はすっかりとりつかれてしまいました。

 付録の解説書によると、手がけたのは、東京・世田谷にある障害者向けの就労継続支援事業所「ハーモニー」のメンバーたち。精神疾患を抱えた末に起きた、それぞれの幻覚体験を描き出したといいます。作った経緯が聞きたくて、施設に足を運ぶことにしました。

男性が経験した「砂かけ」の怪
 11月中旬、世田谷区の住宅街。「どうぞ、これから週に一度のミーティングですよ」。雑居ビルにある、ハーモニーの事務所に到着すると、スタッフの方が大部屋に招き入れてくれました。
 
 ここは、心身に障害がある人向けの、公園清掃などを行う就労訓練の場です。木製の壁や天井を、肌色の蛍光灯が照らし出し、優しい雰囲気に包まれています。29人の男女が通い、私が訪れた日は、15人ほどが顔を出していました。

 開始から約40分。参加者の近況報告が一段落すると、同席していた小川隆一郎さん(68)が、おもむろに話し始めました。
 「最近ね、『砂かけ』の力が弱まってきた気がするんだ」
 「砂かけ」とは幻覚のことです。外出するたび、なぜか体中強いかゆみに襲われるという小川さん。「(妖怪の)『砂かけ婆』に何かかけられたんじゃないか」。相談した友人に、そう言われたことが、名前の由来といいます。
 
 「郵便局に行くとポストの裏に潜んでいる」「コンサートで行った、東京ドームのトイレにもいたよ」。真に迫った言葉に、私も他の参加者も興味津々です。
 「砂かけの性別は?」「どんな時に現れるの?」――。質問が飛び交う一方、語りが遮られる気配はありません。日光が差し込む部屋で、昔話に耳を傾けているかのような、穏やかな時間が流れていきます。
 
メンバーの「幻覚お悩み相談」
 ハーモニーは1995年、「共同作業所」としてオープンし、家具製作などを請け負っていました。メンバーの大半は、統合失調症やうつ病の人たち。全員で食卓を囲むなど、「生活の拠点」であることを大事にしてきました。
 当時から珍しくなかったのが、幻覚体験を訴える人たちです。

「今日も闇の組織に追われた」
「鼻の奥で『殺すぞー!』と声が聞こえる」
 「毎日、悩み事のように相談されるから、みんなで解決策を考えました。でも、よくよく聞いてみると面白い。どうせなら、良い形にまとめられないか、と思ったんです」
 
セリフ覚えられず……そうだ、かるただ!
 2006年には、障害者への福祉サービスを拡充する「障害者自立支援法」(現・障害者総合支援法)が施行されます。これを機にハーモニーは、通所者と雇用関係を結ばず、作業量に応じて工賃を支払う「就労継続支援B型事業所」になることが決まりました。

 ただ、当時のメンバーの平均年齢は50歳ほど。体力面に不安がある人も多く、木工を続けるのは難しい状況でした。

 そこで幻覚体験を劇にし、観覧料を得ようとしたものの、肝心のセリフが覚えられません。代わりに出た案がかるただったのです。

 「それなら見ただけで内容がイメージできる!」。スタッフも大盛り上がりし、手作りして08年に発表すると、注文が殺到。後に出版社から改めて販売されるほど人気が出ました。

 好評を受け、14年には第2弾「新・幻聴妄想かるた」を発売。今年6月にお目見えした第3弾「超・幻聴妄想かるた」まで含めると、延べ50人分の経験談が掲載されています。
 
「躁の合宿」に行ってきます
 メンバーは、どんな体験をかるたにしたのでしょうか?ミーティング後、第3弾にエピソードを寄せた田中純さん(55)に聞いてみました。
 
(で)「でもね、精神科で悟りの話をすると入院になるんですよ」
出典: 「超・幻想妄想かるた」から
 
 両親と大学病院の精神科を受診し、下された診断は「思春期挫折症」。聞き慣れない病名に驚いたといいます。

 仏教徒の父の影響で、宗教やオカルト好きだった田中さん。主治医に「悟り」について語ると、入院させられてしまいました。「(で)」の一枚には、その思い出を込めたそうです。
 
 もう一つ、田中さん自身の言葉を記した札があります。
 ある夏。そう状態が極まり、プレゼントを渡そうと深夜に友人宅へ押しかけた後のこと。再び入院が決まり、新澤さんへ送った報告メールに、こんなフレーズを書いたといいます。
 
(そ)「躁(そう)の宴は終わりました これから躁の合宿です」
出典: 「超・妄想幻聴かるた」から
 
 当の新澤さんは、「入院を合宿にたとえるなんて、しゃれてるなぁ」と感心したそうです。
 
本に落書き、でも夫婦円満
 一方、「境界性パーソナリティー障害」がある平和(たいら・なごみ)さん(53)は、夫婦のやり取りをかるたに盛り込みました。
 
(る)「留守中の 旦那の本に へのへのもへじ」
出典: 「超・妄想幻聴かるた」から
 
 元になったのは、ハーモニーで出会った、夫の諸星純さん(39)との間に起きた出来事です。

 発達障害などを抱え、人間関係に苦労してきた諸星さん。いつしか読書に安心を求めるようになり、かつては、2千冊以上の本に囲まれながら寝起きしていました。

 3年前に結婚した後も、本に入れ込む生活は相変わらず。平さんには、納得がいきません。

 ある日、平さんの不満が爆発します。夫が外出した隙を狙い、「城のように積まれた」本の表紙に、サインペンやはんこで落書きしてしまったのです。

 諸星さんはその後、落書きされた本を少しずつ処分。それでも買うのをやめられず、結局冊数は増えているそうです。でも、ぜんそくのある平さんのため、生活スペースには古本を置かないといった配慮を重ねるうち、一定の理解を得られました。

 「今では図書館に行くのも、何とか勘弁してもらっています」。諸星さんは頭をかきます。
 
語れなかったことを「いじり倒す」
 話に耳を傾けるうち、ふと疑問が浮かびました。メンバーは、自分の過去を人前にさらすのに抵抗がないのでしょうか?

 新澤さんにぶつけてみると「むしろ、『他の人の話が私より多く載っている』と怒られるくらいです」と笑顔で答えてくれました。

 それぞれが幼い頃から経験してきた話も、カルタの読み札に採用されています。中には、離婚や勘当などの原因になるとして、語られてこなかったものが少なくありません。

 「そんな誰かの体験を、ある種全員で『いじり倒す』。みんな『しょうがないな』と、良い意味で諦めているから排除もしない。すると体験の『色』が変わり、とげとげしかった筋書きが軟らかくなっていくんです」

 ちなみに絵札を作る時は、エピソードを寄せた人が下絵を描き、別のメンバーが着色するといいます。だから時には、絵柄と全く無関係な色に塗られてしまうことも。でも、そうした「ゆるさ」が、かえって「心の重荷」を軽くしてくれるのだそうです。
 
「心のつまずき」への反応
 新澤さんには、特にお気に入りの一枚があります。
 
ら)「LINE鳴り 携帯見るが 通知なし」
出典: 「超・幻聴妄想かるた」から
 
 3年ほど前、都内の大学で開いた出張講義で、「自分の体験をかるたにする」という課題を出したところ、ある学生が作ったものです。

 友達からのメッセージを気にするあまり、携帯電話が鳴った気がしてしまう……。そんな、ストレスフルな心の状態を書いたのだといいます。
 「幻聴や妄想も、根っこは同じ。実は、誰しもが体験するかもしれない、ちょっとした『心のつまずき』への反応なんです」

 この言葉を聞き、私はハッとしました。思い当たる節があったからです。
 新人記者の頃、事件や事故の取材にかり出されることが多く、常に「上司から呼び出しがあるのでは」と身構えていました。就寝中、携帯電話が震えた感覚で跳ね起きたものの、着信履歴はゼロ……。そんな体験を、何度もしていたのです。

 縁遠かった幻覚の世界が、自分の人生と地続きであると思えた瞬間でした。
「幻覚って、小説みたい」
 12月上旬。世田谷区の駒沢大学で、ハーモニーが出張講義を開くと聞き、私も参加してみました。

 この日の課題は、かるたで遊ぶこと。出席した1年生約50人は、かるたにも、精神疾患にも、ほとんどゆかりがありません。冒頭、一人一人の表情は緊張気味に見えました。

 「12センチくらいの可愛い小人が、ぐるぐる走り回るのを見た」
 「誇大妄想から現実に戻ると、落差にがっかりする」
 メンバーが読み札を音読し、元になったエピソードについて語ると、だんだん和やかな雰囲気に。後半は、笑顔で絵札を取ったり、メンバーに話を聞いたりする学生の姿も目立ちました。
 
 「幻聴や妄想って、小説みたいで面白い。ネガティブなイメージだけで捉えるのはもったいないですね」。出席者の近藤なつきさん(19)は、そんな感想を持ったそうです。

 ちょっと迷惑だけれど、良い距離感を保てば、日々を彩ってくれる仲間。もしかしたら、幻覚とはそんなものなのかもしれません。
 かるたを通じて、一番伝えたいことは――。講義後、新澤さんに改めて問いかけてみました。

 「妄想を笑い合える環境があれば、心を病んだとしても、誰もが楽しく生きていける……かな。必ずしも真面目なやり方じゃないかもしれないけれど、続けていきたいですね」
 
人生を仕切り直すために
 生きづらさに潰れてしまいそうな人にとって、幻覚は、時に害となる現象です。でもうまく付き合えたら、自らの心のありようを受け止め、ともに過ごしてくれる。取材を通じ、私はそう思いました。

 ハーモニーのメンバーには、日々の生活の中で傷つき、居場所を無くした経験がある人も少なくありません。親や友達、職場の同僚や恋人。様々な人たちとの関係性の中で、心をむしばまれる瞬間は、誰しもに訪れる可能性があります。

 妄想や幻聴は、現れ方こそ特殊ですが、当事者にとって切実な経験が反映されています。それをあえて他人と共有し、客観視することで、人生の仕切り直しにつなげる。かるたの意義は、そんな所にあると感じました。

 自分が「心のつまずき」を体験した時、どう向き合うか。その問いを考えるための、すてきなヒントが、ハーモニーの取り組みに隠れているのではないでしょうか。
 
引用元;with news
⇒https://withnews.jp/article/f0181214002qq000000000000000W08u10101qq000018481A
 
<<NPO法人みどり会>> 〒984-0826 宮城県仙台市若林区若林2-5-5
SKビル 2-B (みどり工房若林内) TEL:022-762-7610 FAX:022-762-7611